奉請

唯願法界海ゆいがんほうかいかい 諸佛諸賢聖しょぶつしょげんじょう

哀愍垂降臨あいみんすいごうりん 荘厳此道場しょうごんしどうじょう

唯願我等輩ゆいがんがとうはい 身心倶清浄しんじんぐしょうじょう

三業福智修さんごうふくちしゅ 成就如来事じょうじゅにょらいじ

唯願衆功徳ゆいがんしゅくどく 回向悉周遍えこうしっしゅうへん

此界及十方じかいぎゅうじっぽう 利益不唐捐りやくふとうえん

 

【解説】

「唯願法界海 諸仏諸賢聖 哀愍垂降臨 荘厳此道場」

(どうかお願い申し上げます。この世界の大勢の仏さま、賢人や聖人の皆さま、私達をあわれんでご来臨下さり、この道場を荘厳なさって下さいますように。)

※法界海  ここでは、現実の世界全体。

※哀愍   あわれむ。かわいそうに思う。

※垂降臨  神が天から地上におりてくる。身分の高い人がその場所に来る。

※荘厳   仏堂・仏像・仏具などを飾ること。( おごそかに整える。)

 

「唯願我等輩 身心倶清浄 三業福智修 成就如来事」

(どうかお願い申し上げます。私達みんなが身心ともに清らかで、三業と福徳と智慧とが正しく整い、仏様のお悟りの世界に至れますように。)

※三業   のちの報いのもとになる、身業(からだであらわす行為)・口業(ことばによる行為)・意業(心による認識判断の行為)の総称。身・口・意の三業という。

※福徳   善行によって得られる幸福と利益。

※智慧   六波羅蜜の一。現象の本質としての原理を理解する心の働き。

※修    言動がととのい正しくなる。

※如来事  仏の目指す覚りの世界に至ること。

 

【唯願衆功徳  回向悉周遍 此界及十方  利益不唐捐】

(どうかお願い申し上げます。 もろもろの功徳が他に振り向けられ、すべて広く、この世界及びあらゆる所にゆきわたらせ、利益が空しく無くなることのありませんように。)

※功徳   仏道をおさめ慈善を積んで得た功績。現在、または未来に幸福をもたらすよい行い。

※回向   自分の功徳を他に回し向ける意。読経・布施などを行って、死者の死後の安穏をもたらすよう祈ること。

※遍    あまねくする。広くゆきわたらせる。

※利益   仏の教えに従うことによって得られる恵み(幸福と利益)。御利益。

※唐    広いこと。むなしいこと。大言。でたらめ。にわか。「荒唐・唐突」

※捐    まるくくりぬいてすてさること。 不要な部分をすてる。