欲令衆

諸仏世尊。欲令衆生。開仏知見。
使得清浄故。出現於世。欲示衆生。
仏知見故。出現於世。欲令衆生。
悟仏知見故。出現於世。欲令衆生。
入仏知見道故。出現於世。舎利弗。
是為諸仏。唯以一大事因縁故。
出現於世。三界無安。猶如火宅。
衆苦充満。甚可怖畏。常有生老。
病死憂患。如是等火。熾然不息。
如来已離。三界火宅。寂然閑居。
安処林野。今此三界。皆是我有。
其中衆生。悉是吾子。而今此処。
多諸患難。唯我一人。能為救護。
我遣化四衆。比丘比丘尼。
及清信士女。供養於法師。
引導諸衆生。集之令聴法。
若人欲加悪。刀杖及瓦石。
則遣変化人。為之作衛護。
爾時宝塔中。出大音声。
歎言善哉善哉。釈迦牟尼世尊。
能以平等大慧。教菩薩法。
仏所護念。妙法華経。為大衆説。
如是如是。釈迦牟尼世尊。
如所説者。皆是真実。

欲令衆(訓)

諸仏世尊は、衆生をして仏知見を開かしめ清浄なることを得せしめんと欲するが故に、世に出現したもう。
衆生をして仏知見を示さんと欲するが故に、世に出現したもう。
衆生をして仏知見を悟らせめんと欲するが故に、世に出現したもう。
衆生をして仏知見の道に入らしめんと欲するが故に、世に出現したもう。
舎利弗、是れを諸仏は唯一大事因縁を以ての故に世に出現したもうとなづく。
三界は安きことなし、猶お火宅の如し、衆苦充満して、甚だ怖畏すべし。
常に生老病死の憂患あり、是の如き等の火、熾然として息まず。
如来は已に、三界の火宅を離れて寂然として閑居し、林野に安処せり。
今此の三界は、皆是れ我が有なり、其の中の衆生は、悉く是れ吾が子なり。
而も今此の処は、諸の患難多し、唯我一人のみ、能く救護を為す。
我化の四衆、比丘比丘尼、及び清信士女を遣わして、法師を供養せしめ、諸の衆生を引導して、之を集めて法を聴かしめん。
若し人悪刀杖及び瓦石を加えんと欲せば、則ち変化の人を遣わして、之が為に衛護と作さん。
爾の時に宝塔の中より、大音声を出して、歎めて言わく。
善哉善哉、釈迦牟尼世尊、能く平等大慧・教菩薩法・仏所護念の妙法華経を以て大衆の為に説きたまう。
是の如し、是の如し。釈迦牟尼世尊、所説の如きは皆是れ真実なり。