七佛通戒偈

願諸衆生がんしょしゅじょう 諸悪莫作しょあくまくさ

諸善奉行しょぜんぶぎょう 自浄其意じじょうごい

是諸佛教ぜしょぶっきょう 和南聖衆わなんしょうしゅう

 

七佛通戒偈とは仏教で釈迦以前に存在したとされる6人の仏と、釈迦を含む7人の仏(過去七仏)が共通して説いた教えを一つにまとめたとされている偈であり、『法句経』などに収録されている。

【訳】

諸々の衆生に願う 諸々の悪を作すことなかれ

諸々の良い行いを続けなさい 自らの心を浄くなさい

これは諸々の佛の教えである 聖たちよ敬い礼拝しなさい

※莫=否定を表す語

※奉行=奉じ行う

※其=その・それ

※和南=目上の人に敬意を表してその安否を尋ねる語で、口に唱えながら、深く首をたれて礼をすること。

●中国唐の詩人・白居はくきょは禅を好み、禅僧・ちょう道林どうりん/鳥か和尚 ※「か」は穴かんむりに果)に「仏教の真髄とは何か」と問うたところ、この偈の前半を示された。

白居易は「こんなことは3歳の子供でもわかるではないか」といったが、道林に「3歳の子供でもわかるが、80歳の老人でもできないだろう」とたしなめられたため、謝ったという。

これは史実ではないが、道元もこの逸話について論じており、「わかる」と「できる」とは全く異なるということを示した逸話として有名である。